「あたりまえ」の日常

双極性障害Ⅱ型とうまく付き合いつつ、その病気に関連したことや考え方、色々な自分の興味のあることについてつらつらと綴っています。

【イベントレポート】soarのイベント「地域に安心できる‟居場所”をつくる」(2017/7/12開催)に参加してきました。

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どうも、nimoです。

 

先日、NPOのsoarが主催するイベント、soar night out!!!「地域に安心できる‟居場所”をつくる~子どもも高齢者もその人らしくいられる場を~」に参加してきたので、そのときのレポートを書きました。

(書いてみると、すごいボリュームになりました^^;)

 

 

目次

 

この記事を読んで欲しい方

・居場所づくりに興味がある方

・soarのイベントに参加できなかったけど、内容知りたいという方

・そもそも、soarってなんだ?って方

あたりに読んで貰えたら嬉しいです。

 

soarについて

さて、まずは参加したイベントを主催してくださったsoarについて簡単に説明します。

soarとは

 「人の可能性が広がる瞬間を捉えるメディア」をコンセプトとして、soarは運営されています。障害を持つ人や、難病の当事者、LGBTの当事者、またそれらの支援者などなど、社会的にはマイノリティとされる人たちやそれを支援する人たちの様々な活動にスポットをあて、紹介しているメディアです。

 

soar-world.com

 

そのsoarが個人的にすごいな~と思っているのは、"記事の内容の濃さ"です。何といっても、文字数、ボリュームがいつもすごい!(なので、たまに読むのに骨が折れたりもしますが(笑)) それだけ丁寧に取材し、取材対象者の方たちと真摯に向き合って、その方たちの活動やその良さを余すことなく伝えようという強い想いが、こちら側にも伝わってきます。

 

キュレーションなどという言葉が流行ったり問題になったりしましたが、「わかりやすく端的にまとめるのが良いとも限らないんだな~」とか、「本当に伝えたいことはいくら文字があっても伝えきれないのだろうけれど、それでもできる限り想いを詰め込んでいるのが読んでいて伝わってくる」なんてたまに考えさせられたりもします。

 

色々書きましたが、一言でいうと、「応援したくなる、素敵なメディア」。それがsoarだと僕は思います^^

(なので、こうやって宣伝しています(笑))

 

※こちらの記事では、soarの記事に対する考え方などがわかりやすく書かれいましたので、ご参考までに。

 soarから学ぶ"人と向き合う力" - a chequered life

 

soarの各種SNSアカウント

せっかくなので、各種アカウントの紹介を(自分が把握してないだけで、他にもあるかもしれません)。

 

Twittersoar (@soar_world) | Twitter

FacebookSoar - ホーム | Facebook

Instagramsoar (@soar_world) • Instagram photos and videos

・Medium(スタッフブログ):NPO法人soarスタッフブログ – Medium

 

代表の工藤さん(@mimimizuho)など、スタッフの方もTwitter等で色々発信されています。

 

気になる方は、フォローしてみてはいかがでしょうか? 

 

soarを知ったきっかけ

話が前後しますが、イベント参加後の帰りの電車で、たまたま参加者の方と途中までご一緒することになり、「soarを知ったきっかけって、何なんですか?」という話になりました。

自分が双極性障害Ⅱ型を患い、たまに色々調べていたところに、たまたま以下の記事を見つけたのがきっかけだったと記憶しています(正確ではないかもですが^^;)。

 

 

 この話をしたら、

「インターネットの力ってすごいですね~」なんて、会話をしていました。

ほんと、ネットの力ってすごい!

soarもそのネットの力を使って、色々素晴らしい記事を届けてくれています。

 

まだ見たことない方は、是非ここからアクセスしてみてください^^ 

 

イベントへ参加した背景

続いて、個人的な話で恐縮ですが、僕がこのイベントへ参加した背景について書きました。

 

僕は双極性障害2型という精神疾患と4、5年前に診断され、色々あって去年(2016年)の3月で大学院を中退しました。そこで気づいたのは、世間からドロップアウトした人の居場所の無さでした。

 

僕は、両親が福祉関連の仕事をしており少しは知識があったこと、また共働きで経済的にも多少の余裕があったので、たまたま運良くカウンセリングを行っている機関に通うことになりました。そのカウンセリングや以前から通っていた精神科の通院等もあり、現在はかなり体調も上向いてきました(去年の4月はほぼ家のベッドで寝たきりでした)。

 

自分はたまたま色々恵まれていたけれど、世の中にはきっと様々な事情で、現在の苦しい状況から抜け出せず、居場所も見いだせない人がいるのではないか?

そういう想いが強くなってきたなかで、タイミングよくsoraの今回のイベントがあることを知りました。

 

※同じような内容ですが、ブログの記事にもしました。

nimolog.hatenablog.com

 

前置きが長くなりましたが、いよいよ本題です。

イベントの内容や様子

イベントのときの時系列に沿って、イベントの内容や様子を紹介しました。

 

 自己紹介タイム

 

 

周りの参加者の方との自己紹介タイム。

印象的だったのは、soarの代表の工藤さんが「周りとお話したくない方は、無理にしなくても良いですからね~」と配慮されていた点。

”いろんな人がいていいんだ”というお気持ちをもっているんだな~、ということがよくわかる一言でした。

 

近くにいた4人の方と小さなグループになってお話したのですが、看護師の方や老人ホームで働いている方、学校で色々な事情を抱えた子の居場所をつくろうとしている方など、今まであまり接点のなかった方たちが参加されていました。

 

「大阪から、このイベントのために来たんです」と言ったら、少し驚かれたな~(笑)

 その辺のフットワークは軽めなのが取り柄の1つです^^

 (すみません、すこし脱線しました^^;

 

 soarの紹介

 

 自己紹介の後は、soarの代表の工藤さんからのsoarについての説明がありました。

 

soar立ち上げの経緯

工藤さんの身近な人であるおじさんが統合失調症になり、隔離病棟に入れられた過去。

 

その後、「べてるの家」という北海道にある精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点があることを知り、「もっと早くに、こういうところを知っていれば、おじさんはそんな目に遭わなかったかもしれない」という気持ちを抱いたそう。

 

そういった経験を通して、「困っている人たちに手を差し伸べたり、助けようとしている人たちはたくさん居るのに、それをすることが精一杯で、そういう活動をしていると発信するところまで手が回っていないのではないか?」と工藤さんは思い、インターネットを通してそういった情報を困難を抱えている人たちに届けるために、soarを立ち上げたとのことでした。

(以下に、そのときのスライドを撮影したので、一部ですが掲載しておきます。)

 

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何かしら困難を抱えている人は、意外と身近に

工藤さんのお話の中で、特に印象的だったのは、このスライド。

 

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障がい者は25人に1人。

貧困状態の子どもは6人に1人。

うつ病経験者は15人に1人。

LGBTは13人に1人。

 

「意外と身近に、何かしら困難を抱えて生きている人っているんだろうな」ってことを考えさせられました。

 

soarは寄付をして応援してくださる方を募集しているそう

あと、soarは記事の世界観などをしっかりと見てほしいとの理由(うろ覚えです、すみません^^;)で、記事に広告も入れず、課金システムも取っていないらしいので、財政的には結構厳しいみたいです。マンスリーサポーターも募集しているみたいなので、興味がある方はこちらから~。

 

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(年内に150名いかないと、なかなか運営が厳しいらしいです^^;

1記事つくるのに、5万くらいかけてるって言ってた気がします。

 

ここまでは、soarの紹介でした。

ここからが、イベントのメインコーナーです。

まずは一組目のゲスト、鴻巣さんのお話。

鴻巣麻里香さん(KAKECOMI)のまかないこども食堂「たべまな」のお話

 

 

一組目のゲストは、KAKECOMIという団体で、福島で子ども食堂「たべまな」を運営されている鴻巣麻里香さん。

 

soarでも記事で取り上げられていますので、気になる方は以下のリンクから覗いてみてください。

soar-world.com

 

このイベントでは、こども食堂「たべまな」での取り組みに関することや、鴻巣さんご自身の生い立ち、KAKEKOMIや「たべまな」をやるに至った経緯などを、ユーモアを交えお話していただきました。

 

断片的にはなりますが、僕が印象的だった部分を幾つかピックアップしました。

 

「辛いときには必ず誰かが助けてくれる」

鴻巣さんは、子どもの頃、ハーフであるというだけでいじめに遭っていたそうですが、それをなかなかご両親に言い出せずにいたそう。いじめがエスカレートし、耐えきれなくなったときにご両親に事情を話すと、即座に学校側に取り合ってくれたそう。この経験から、「辛いときには、必ず誰かが助けてくれる」と思うようになったそう。

 

個人的な話ですが、これはとても気持ちがわかることでした。しんどいとき、僕はどうしても自分ひとりで抱え込んでしまいがちなんですが、大学時代にうつっぽいと自分ではわかっていながらも、それを両親に隠していたのですが、色々あってそれを両親が知ったときも、色々と手助けしてくれました。また、困ったことがあったら、相談に乗って気遣ってくれる友人もいます。そのように、困ったときや辛いときに、他人に頼るって悪いことではないんですよね。

 

※過去にそういった内容の記事を書いたこともあります。参考までに

nimolog.hatenablog.com

 

とりあえずやってみることの重要性~「ないないづくし」からのスタート~

鴻巣さんはご自身の過去の経験から「居場所が欲しかった」んだと気づき、「たべまな」を始めようとしたけれど、はじめは「ないないづくし」だった鴻巣さんがおっしゃっていました(吉幾三状態だとおっしゃってましたね(笑))。

そんな中でも、実際に「たべまな」を開いてみると、志しを共にする人や、協力してくれる人が集まってきたそう。

 

とりあえずやってみることの重要性を学ばせてもらいました。

行動しないと、何も始まらないんですね。

 

※行動することの大切さについても最近記事にしました。

nimolog.hatenablog.com

 

 

「被支援者をつくらない」

鴻巣さんは「たべまな」を運営する際、「被支援者をつくらない」ということを大切にしているそう。

「子どもたちが助けられてばかりだと、自分に力があるとは思えなかったり、その場にいることに罪悪感を覚えてしまう」と鴻巣さん。なので、「自尊心を育てるには、誰もが"場に貢献する"ということを大切にしている」そうです。

 

その「誰もが"場に貢献する"」仕組みとして「子どもはまかない、大人はカンパ」というシステムがあるそう。

子どもたちは、ただご飯を食べにくるだけじゃなく、何かしら自分のできることで"場に貢献"して、その対価として、ご飯を食べさせてもらうという素晴らしい仕組み。

 「自分の作ったもの(したこと)が誰かの喜びになる」という経験は、子どもたちの自尊心を育むんですね。

そして、自分のできることを探すということは、「子ども自身の強みを探すことにもつながる」鴻巣さんはおっしゃっていました。

 

また、大人たちはカンパとしてお金を支払い、その場に参加できるそうなのですが、大人の方の中にも色々と事情を抱えて経済的に苦しい方もいるはず。そんな方のために、「おすそ分けシステム」なるものが存在するそう。大人の参加者の人たちのカンパとは別に、おすそ分け用の貯金箱的なものを用意し、そこに毎回少しずつ大人の参加者の方におすそわけ(少額を入れる)してもらってるそう。それがある程度貯まれば、経済的に困っている大人の人にも、そのお金で参加してもらえるという仕組み。

 

面白いですね♪

どんな人でも気軽に参加してもらえるってなかなか難しいですが、それを実現しようと色々工夫していらっしゃるんですね。

 

支援機関ではなく、人的リソースの集う場所~裏メニューの充実~

印象的だったのが、「子ども食堂を子どもの貧困の文脈で語るのは嫌」という鴻巣さんのお言葉。「経済的に苦しい子どもに来てほしいと言って、子どもたちは行きたいと思うのか?」と疑問を投げかける鴻巣さん。「どんな子どもたちがきてもいい」と鴻巣さん。でも、傷ついてたり色々な悩みを抱えている子が来たら、その子たちを助けるために、必要な支援機関に繋げる"裏メニュー"があるそう。一例ですが、精神疾患なら医者、法律が絡んできそう弁護士、いじめなら教育委員会など。あくまでも裏メニューであり、"支援機関ではなく、人的リソースの集う場所"とおっしゃっていました。

 

確かに、表だって貧困の文脈で語られても、子どもたちが「行ってみよう」とは思ってくれませんよね^^; 

あくまでも、裏メニューとして、さりげなくというスタンスって素敵だなと思いました。

 

関係性の貧困の手当てとしての居場所

「お腹いっぱいになるのは一瞬。でも、繋がりはその中でずっと生きている」と話す鴻巣さん。「関係性の貧困の手当てとしての居場所」というお言葉が大変印象的でした。

 

ただ食事をしてお腹いっぱいで終わる場ではなく、その場にいなくても繋がりがあるって素敵ですね。

 


「たべまな」OBの大学生3人(当時は高校生)がイベント会場にかけつけており、その体験を振り返ってお話してくれたんですが、その話で印象に残ったところが幾つかあります。

 

まず1つ目。「小学生と高校生のつながりって、あるようでない」というお話。

これは確かにな~と思いました。鴻巣さんもおっしゃってたんですが、「基本的に子どもたちは家か学校くらいしか居場所がない」んですよね。なので、「たべまな」みたいな場所って貴重なんだな~、関係性の貧困の手当てとしての役目を果たしているのだなと思いました。

 

2つ目は、「「たべまな」を卒業した後でも、関係が続いている」というお話。

「たべまな」を卒業した後でも、中学生の子から悩み相談とかが来るそう。あとは、「インスタ(Instagram)とかのコメントで色々ちょっかい出してくる」とかも言っていたはずです(笑)

「たべまな」という場をきっかけとして、そういう関係性が構築されるのって素敵なことだな~と思いました。

 

誰かが特別なことをせずとも、他の人を変えられるような場所になれば

「たべまな」OBの大学生3人のお話の中で、もう1つ印象に残ったことがあります。

「「たべまな」に参加しているときには、ボランティア意識は全くなかった」というお話。

最初は「ただ飯が食えるから~」と母親に連れてこられたそう(笑)

それで何となく参加していたら、寂しそうにしている子がいるから何となく声をかけたそうなのですが、その子から「(そのOBの子の)存在がとても大きかった」と後々聞かされて知ったそう。

ボランティア意識が全くなかったというのは、驚きですよね。

 

鴻巣さんが最後に「(「たべまな」が、)誰かが特別なことをせずとも、他の人を変えられるような場所になれば」とおっしゃっていましたが、このOBのエピソードがまさにそれを体現していると思い、すごいな~と感動しました。

 

まとめ

非常に有意義なお話だったと思います。ここで記載したこと以外にも、「いじめっこでも分け隔てなく、平等に接する。そのことには「たべまな」では触れず、相談してきたら話を聴く」といった、面白いお話が色々ありました。

 

まとめになるかはわかりませんが、このブログで示した項目を幾つか書いている自分のツイートを最後に貼って終わりにしようと思います。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

 

 

 

続いて、ゲスト2組目の青山さん、倉持さんのお話された内容についてです。

 

青山大蔵さん、倉持淳美さん(株式会社シーズオブウィッシュ)の 映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」のお話

 

 

二組目のゲストは、株式会社シーズオブウィッシュで運営会社として、映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」をつくってこられた、青山大蔵さん、倉持淳美さんのお話

 

 soarでも、青山さんへの取材が記事で取り上げられていますので、気になる方は以下のリンクから覗いてみてください。

soar-world.com

 

このイベントでは、青山さんと倉持さんから次のようなお話をしていただきました。

青山さんからは、映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」を作るに至った想いや、映画館で実際にどのような活動を地域団体や行政と協力して行ってこられたのかというお話を。

倉持さんからは現場の責任者として、いかにお客さんと接し、場をつくっていくかとういう観点からお話いただきました。

 

一部になりますが、僕が印象的だった部分を幾つかピックアップしました。

 

映画館にとって大事なことは、『文化』ではなく『思いやり』

映画館をつくるにあたり、青山さんたちが意識したことは、「今の映画館が忘れているもの」。「良い映画さえ上映しておけば、人が集まるだろうというのは、文化人しか集まらず、その他の層のお客さんを軽視していることである」と語る青山さん。「映画館にとって大事なことは、そのような『文化』ではなく『思いやり』であり、人を見ないといけない。文化やエンターテイメントを語るより、厚木の街から孤独をなくしたい」といった強い想いを持って、青山さんたちは映画館をやっているそう。

 

確かに、「良い映画を流しさえしておけばいい」、「見に来ない人の民度が低い」といったように、映画館の経営側が文化やエンターテイメントの側面で語るのは簡単なことのようにも感じられます。でも、それだとほんとに一部の人にしか来てもらえない映画館になってしまい、経営が厳しくなってしまうことが多いんではないでしょうか?

 

僕は最近映画にはまっていて、映画館で観るのが好きなのですが、地元の映画館はいつもガラガラ。「こんなんで経営大丈夫なのかな?」とよく思ってしまいます。『思いやり』をもって人を見れば、その映画館も変われるチャンスはあるんじゃないかな、なんて思ったりしました。

 

地域共生型映画館

青山さんはこのイベントでのお話のキーワードの1つとして、「地域共生型映画館」という言葉を挙げておられました。どういうことかというと、「映画館がプラットフォームとなり、映像を媒介にして、行政や地域の団体と市民を繋げ、課題を解決する」ということを行っているそう。

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地域共生型映画館の説明スライド

 

例として、以下の2つが挙げられていました。

 

①「自主夜間中学校運営支援」

 この取り組みでは、若いころに教育を受けられなかった高齢者などに勉強を教える自主夜間学校を運営している地域団体に、勉強するスペースを提供したり、一緒に夜間中学に関する映画の上映会とトークイベントを行ったりしているそう。

 

②「映画を通して、人権問題を学ぶ場」

 地域包括事業として、行政と連携し、市の教職員や市民が、人権問題について学ぶ場をつくっているんだそうです。とある大阪の小学校の普通学級にいる発達障がい児に寄り添う取り組みを取り上げた映画(タイトルは「みんなの学校」)を通じて、人権問題意識の推進などを行っているようです。

 

このような例のように、ほんとうに地域の方や行政の方々と、共に場をつくりあげているんだとういうことがよくわかるお話でした。

 

ホスピタリティ・マネジメントという、マニュアルがほとんどない、従業員の自由裁量による映画館運営

映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」の運営方法を、現場の責任者である倉持さんが語ってくださったのですが、非常にユニークなものでした。

 

映画館の運営は、マニュアルがまずあり、それに従業員が従って行うというような形態をとっているのが一般的であるそう。一方で、映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」の運営ではマニュアルがほぼなく、基本的には従業員の自主性に任せるという形態をとっているそう。「映画館がお客様にとって居心地の居場所であるために、その従業員の自由裁量をマネジメントしている」とのお話でした。

 

その2つの運営形態の違いを、『サービス』『ホスピタリティ』という言葉で倉持さんは説明してくれました。

『サービス』は対価や利益を重視し、従業員の裁量があまりないのに対し、『ホスピタリティ』は目先の利益よりも、お客さんにおもてなし・喜びを与えることが大切と考え、従業員の裁量が大きいというのが特徴。映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」では、後者の『ホスピタリティ』を重視して、運営を行っているとのことでした。

 

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 サービスとホスピタリティの違いについての説明スライド

 

そのホスピタリティを持って映画館運営を行う"ホスピタリティ・マネジメント"を実践する、映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」。実際の現場では、従業員それぞれがお客さんとどう接するかを考え、ただの一方向的なコミニュケーションの『接客』ではなく、『対話』を育んでいるそう。「いらっしゃいませ、こんにちは」と従業員がいうと、お客さんも「こんにちは」と返してくれ、そこから会話が弾んだりもするそう。

 

もう1つ印象的だったのは、映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」の理念に共感した人たちで成り立つコミュニティであり、バイトやインターンの人がこの映画館の利用者である場合がほとんどだというお話。「広報しなくても、どんどん人が来る」と青山さんはおっしゃっていました。

 

講演終わりに、倉持さんに直接お話しを伺うこともできました。そこで、「マニュアルがほとんどない中で大変なことも多いでしょうけど、どのような工夫をなされているのか?」といった旨の質問をしてみました。すると、「マニュアルがほとんど無いがゆえの苦労もある」と話してくれた上で、「まずは責任者の自分が理念をしっかり理解し、体現することを意識している」と話してくださいました。また、先にも述べたように、バイトやインターンの人がこの映画館の利用者である場合がほとんどであるため、はじめから自主的に動いてくれる人も割といるそう。

人を見つめ、寄り添い、しっかり向き合えば、そこに共感する人たちが自然と集まってくるんですね。

 

セーフティ・プレイスとしての映画館

 映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」は、映画館でもあり、セーフティ・プレイスでもあるそう。「時間が空いたらちょっと行ってみようかな、と思ってもらえるような。日常の中の一部に、映画館があれば」と語る青山さん。

 

以下のような事業に力をいれ、セーフティ・プレイスとしての映画館という役割も担っているとのことでした。

 

①外出困難者支援

 厚木市社会福祉協議会の協力の下、外出が困難な高齢者を対象に、地域の公民館と映画館の間でバスを運行し、無料で送迎を行っているそう。

 

②放課後シネマ

 映画館にあまりお客さんがいない平日夕方に、小学生を対象にした映画無料鑑賞会を行ったりもしているそう。「映画館で学童保育」というイメージ。一口五万円の協賛金で運営する企業の協賛(ソーシャル・パートナーシップ・プログラム)で集まったお金で運営しているそう。五万円あれば、100人の子どもたちに映画を観させてあげることができるとのことでした。

 

お年寄り、子どもなど、色々な地域の人のセーフティ・プレイスとしても映画館が機能しているんですね。

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 セーフティ・プレイスとしての映画館の説明スライド

 

「人は映画館に『暗闇』ではなく、『光(希望)』を求めている」

 最後に青山さんが語ってくれたお言葉が、非常に印象的でした。

「街から孤独を無くすことは簡単ではない。そんなことはわかっているが、誰かがやらないといけない」と語る青山さん。

人は映画館に『暗闇』ではなく、『光(希望)』を求めているそう信じることが大事」と続ける。

 「映画館が地域に開かれた『人と人をつなぐ安全な場所』であれば、きっと街から孤独はなくなる」と強い想いを持って語ってくださいました。

 

「ほんとうに街から孤独をどんどん無くしていくのだろうな」と思わせてくれる、映画館の素晴らしい取り組みのお話でした。

 

まとめ

はじめの方で、青山さんが今回のお話でのキーワードを3つ挙げられていました。

  1. 地域共生型映画館
  2. ホスピタリティ・マネジメント
  3. セーフティ・プレイス

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 青山さんが本日のキーワードについて書かれたスライド

 

このキーワードをお借りすると、

ホスピタリティ・マネジメントをもって映画館を運営し、地域共生型映画館、セーフティ・プレイスとしての映画館など色々な役割を持ち、地域の中で機能している居場所が映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」である

と、まとめられるのではないかと思います。

 

 ケータリング(兼交流会) 

 

 イベント終わりには、交流会を兼ねてケータリングで用意された、見ても楽しめるお料理を美味しくいただきました。

 

心残りは、もう少し色々な人と話せばよかったという点かな^^;

あと、他の方とお話していたら、スイーツ食べ損ねました(笑)

 

soarの方々への感謝

 イベント参加するにあたり、申し込みを行おうとしたときに、以下のような表記が目に飛び込んできました。

 

※「参加したいけれど、病気や障害、心の不調、現在の環境が理由で就労が難しく経済的にきびしい」など理由のある方は、5名様限定で参加費の減額や無料参加とさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。

 

     引用元: http://soar-world.com/2017/06/15/soarnightout0712/

 

先にも述べたように、僕は現在双極性障害Ⅱ型を患っています。そして、就労していない状態です。両親に経済的援助はしてもらっていますが、できるだけ負担はかけたくない。そんな中、このイベントを知り、「参加したい!」と思ったのですが、大阪在住なので遠方でもあり、どうしようかと悩んでいるときに、この表記に背中を押されました。そして、連絡をしたら、soarの方に快諾していただくことができました。

 

soarだからこそ、困難を抱える人たちに寄り添う活動をしているからこそ、できる配慮だな~と思いました。この場を借りてですが、一言感謝の言葉を言わせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。参加して得られるものがたくさんありました。このような形で発信するなど、何かしら恩返しができたらと思っています。

 

参考にした資料、関連ページ

この記事を書くにあたって、参考にさせていただいた資料、今回のイベントの関連ページを記載しておきます。

 

1.ツイッター #soar_eventハッシュタグでの参加者の皆さんのつぶやき

 忘れていた内容を補足してくれました。感謝です。

 ※リンク先は日付指定もしているので、この居場所イベントのときのものだけきちんと表示されるはず

 

2.soarのインタビュー記事 

 ゲスト2組それぞれのインタビュー記事も、勿論参考にさせていただきました。

 まかない子ども食堂「たべまな」鴻巣麻里香さんがつくる地域の居場所 | soar(ソア)

 高齢者が通いたくなる映画館ってどんな場所!?いつも誰かが待っていてくれる厚木「映画.comシネマ」 | soar(ソア)

 

3.まかない食堂「たべまな」の関連ページ

 

4.映画館「アミューあつぎ 映画.comシネマ」の関連ページ

 

5.田崎さんのブログ

 自己紹介でも一緒になった田崎さんの記事。参考にさせていただきました^^

 soar night out!!!(2017/7/12)からの学び① - SMILE make SMILES

 soar night out!!!(2017/7/12)からの学びと気付き② - SMILE make SMILES

 

 

編集後記

 抜けがあったり正確でない部分もあるかと思いますが、自分がこのイベントで学んだことを出来る限り書かせてもらいました。

これも何かの縁なのか、このイベントの後に、地元でのこども食堂の立ち上げに関わらせてもらうことになりました。

 

 

ここで学んだことを早速活かせるチャンスが来たので、色々とアウトプットして、より良い活動にしていきたいと思います。

 

長くなりましたが、読んで頂きありがとうございました^^